「農」のポテンシャルをつなぐ ― 公開市民講座から生まれた「種」― 生活科学部 現代生活学科 教授 須賀 由紀子 若い女子学生の感覚で「やってみたい」と思えることと地元の農家・市民の方との取り組みを結んでいけば、何か新しいことができるかもしれない。そのこと、学生たちにとっても、地域を理解し、生活者として生きるとはどういうことなのかを体得し、学生自身が生活者となっていくことの大きな学びとなると考えられます。 コミュニティガーデンとは、アメリカが発祥で、もともとは、悪のたまり場となりがちな空き地に花を植え、スラム化することを防ぎ、街全体の美化をはかり、街の生活環境を市民の手で作っていこう、という主旨のもと始められた運動です。 せせらぎ農園の活動の要にあるのは、「地域の生ごみを回収し、その生ごみを土に混ぜて堆肥とし、地域の誰もが関われる菜園を作る」というものです。これは、「日野市ごみ改革」(二〇〇〇年)をきっかけに生まれた「ひの・まちの生ごみを考える会」(二〇〇二年)の活動に端を発した、生ごみのたい肥化・資源化の活動がルーツとなっています。 この活動は「誰でも」「気軽に」がモットーで、会員制でも当番制でもなく、誰でも自由に参画できるようになっています。また、この場の活動を、地域の保育園や学校、また福祉施設へも開き、協働の営みの中に巻き込みながら、地域の人で育てあうコミュニティガーデンとなっています。そこに集う人たちの雰囲気は、一人ひとりが無理なく主体的に「農」を楽しむ楽園です。 コミュニティを生み出す源にあるのは、「農」というコンテンツの力 「生き方」を無理ない範囲で外に開き、誰もが関われるような場を作る中から、「公共」を生み出し、それに賛同する人たちとともに、協働を楽しんで 消費社会が支えた産業の時代を超え、新たに迎えた成熟社会を生きる生活者像 「都市型アグリライフ・コミュニケーター」 |