という角松敏生さんのコンサートツアーは2006年のこと。(当時、彼は46才) そうです、今の私の年です。(爆) その2006年の角松敏生さんのコンサートツアーは、それまでとバンドメンバーが変わり、彼の尊敬するドラマー、Steev Gaddのプレーを意識した曲作りに加え、沖縄で活躍されていた女性シンガーお二人を新たにBGVに加えて、(ファンの間では)画期的なツアーを行いました。 その最たる曲は「日照雨」(そばえ と読みます)という、いわゆる「B面最初の曲」ですが、複雑なリズムパターンに加えて、真夏の夕方の通り雨の後の晴れ間を想像させるような詩と曲、そして沖縄で活躍されている女性二人のBGVが見事に絡め合う、私のベスト1の曲でもあります。 彼は、その外見に反して(?)哲学科出身(唯一尊敬している同じ大学出身)ということもあり、その思慮は深く、コンサートパンフにも名文を数々残しています。 このツアーのパンフに寄せた文章は、その中でも秀逸で、そのコピーが私のデスクの近くにずっと掲示されており、時々読み返すほどです。 その一部をご紹介しましょう。 生きていると本当に様々な出来事と出逢う。生きていると言うことは、苦なのか楽なのか。仏教に言う四苦八苦とは、生きていかなければならない苦しみ、老いる苦しみ、病にかかる苦しみ、死ななければならない苦しみ、愛する人と別れなければならない苦しみ、憎い相手と会わなければならない苦しみ、求めるものが手に入らない苦しみ、熱い、寒い、痛いなど肉体が感じる苦しみ、以上の8つを言い、およそ、人はこの宿命からは逃れられないという。 しかし、それらを裏返してみると、その分だけの楽もあることも確かだ。人は常にこの苦と楽を交互に行き来しているのじゃないだろうか。 中略 ともあれ、生きること、死ぬことその意味が分からない以上は、人生は楽なのか苦なのかは謎のままだ。だから僕にとって生きることは謎解きなのだ。実際、25年前にわからなかったことが、今ではなんでそんなに簡単なことに悩んでいたのだろうと感じるほど理解できることもある。同時にさらに謎が深くなってしまったこともある。 僕はこの謎解きの旅を楽しもうとしている。 中略 試練があったとき、これは嵐なんだと思うようにしている。過ぎ去らない嵐や、明けない夜がないように、時間の長短はあってもすべては必ず変化していく。そして、そこから抜け出した時の歓びや希望は新たなエネルギーを生む。そしてそのエネルギーが実は、また新たな苦悩の種を育んでいるのも事実である。ずっと苦しいことがないように、ずっと幸せなこともまたないのだ。 中略 僕は一生懸命やっています。そして前を向いて疾走します。46歳になりました。まだまだ子供です。 中略 これからもご一緒に謎解きをして行こうではありませんか! 大楽を知るまで。Let's groove! 以上ですが、いかがでしょうか。読む方によって、感じ方は異なると思います。 しかし、冒頭の「死の苦しみ」以外の七つの苦をすべて経験した今の私にとっては、まったく同じ心情です。 私も46になって、周りの人達が入れ替わりました。今は新しい仲間と力を合わせています。 謎解きを楽しんでいきます。大楽を知るまで。Let's groove! |